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はらぺこぐんだん2~殴りBISの破砕日記~

17章




17章
【敵と味方】






「・・・という感じなんだけど」

EM蒼炎の締めくくりの言葉に
僕らは深く頷く

「なるほど・・・
 それなら全て合点がいくし納得できる」

僕は自身の現状と事の真実を聞き
不思議な事に心は冷静になっていた

正直な所EM蒼炎は説明が下手で分かりにくい部分もあったので
僕が簡単にまとめてみよう・・・


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まず前提に、この世界は【レッドストーンネクスト】という
次世代オンラインゲームであるという事

そして僕はそのゲーム内で開発チームや運営チーム等の補佐をする為
ゲーム内から手助けをするデータプログラムであるという事

CEM、コンピューターイベントマスターと名づけられた僕は
僕を作ったプログラマーすら驚くほど、人工知能に多様性があり
本当の人間のような思考を持っていた

僕は開発チームの補佐をしながら、EM達と出会い
そしてEM達と親交を深めていった

特に僕が信頼できる関係と言っていいほど仲良くなったのは
3人のEMだった、それが【EM蒼炎】【EM緑魔】【EM雷苦無】だった
(※雷苦無→らくむ、と読む)

EM雷苦無は開発段階のみのメンバーで、現在はもう居ないらしいが
残ったEM蒼炎とEM緑魔は僕の事を本当の人間のように接してくれていた

EMや運営チームの中では、僕のあまりに高度な人工知能に恐れを感じ
すぐに消去すべきだとか、一時的に停止するべきだ等の意見もあった

ただ、僕は開発・運営共にこれ以上無い程の働きをしていた為
直接的に文句を言うような人は居なかった

ただ1人を除いては

その1人というのが【EMガイナス】である

彼は他の人と違う目で僕を見ていたという

それは、嫉妬と憧れが混じったような目だったという

それになんとなく不穏な空気を感じていたEM蒼炎は
EM緑魔と一緒に、彼の行動に気をつけながら仕事をしていた

そんな時EMガイナスに動きがあった

レッドストーンネクスト内に、ガイナスが独断で
自分専用のデータ群をプログラミングしたのだ

それはゲーム内では通称【イヴィル】といわれ
CEMである僕の構造と似た作りとなっていた

人口知能を搭載したイヴィルだが
EMガイナスに忠誠を尽くし、どんな命令でも行動に起こした

そんなEMガイナスの独断の行動に、他のEMや上層部も黙ってはいない
彼の勝手を許すはずも無く、緊急会議が開かれ、彼は運営から追放される事に

だが・・・

前もって手を回していたEMガイナスにより、それは適わなかった

半数のEMがガイナス派となり、さらに上層部にもその手が回っていた
決まったはずの案件は無かった事となり、それを発端に
ガイナスの行動はエスカレートしていった

そんな中、レッドストーンネクストの公式オープンを迎える事となった

当時CEMである僕は、オープン後もプレイヤーに紛れて
各所のバグ潰しや不正利用者の探索等の仕事を任されていたのだが

突如として僕はゲーム内から【消えた】

高度な人口知能を持ったプログラムが消えたとなって
社内は大騒動となる・・・と思われたが
何故か至って平然と周囲はしていた

それに不信感を覚えたEM蒼炎とEM緑魔は
ガイナス派に侵食されていなかった他のEMや社員を集め
密かにガイナスに対抗する勢力を結成した

EM蒼炎の予想した通り、僕、CEMジグ=ヴェルディが消えたのは
EMガイナスが絡んでいる事が判明した

何故僕を消したのかまではまだ分かってはいないらしいが
そこでEMガイナスには誤算が生じた

EM蒼炎が言うには、恐らく自己防衛システム的なものが働いたとの事だが
僕は【消えなかった】

そう、バグを孕みつつ僕はゲーム内に
中身の居ない自立プレイヤーとして再起動したという事

それは僕がクランツ達とシステムビルへ行くまで
EMガイナス派の人達には気づかれていなかった

そこでひと悶着あった後、僕たちは
再度消去対象としてEMガイナスにロックオンされたようだ

ただ、自己防衛プログラムのせいか
データの根本を書き換えられた僕を、データ上から消去する事が出来なかった

そこで、EMガイナスは他のEMガイナス派のEMと
イヴィルを用いて僕を直接消去しようとしているという

プレイヤー状態の僕は、HPが0になると
他のプレイヤーと同じく死亡状態となる

その状態になると僕は無防備となり
彼らの消去プログラムの対象となってしまうようだ


つまり彼らは僕に何らかの脅威を感じ
完全に消去しようとしているのだ

それを防ごうとするのがEM蒼炎を中心とした対抗勢力【コレクト】である

即座に彼らも動き出した

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~17章完~







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